プラハの話 その3

1989年にベルリンの壁が開いて以来、堰を切った様に、東欧のどの国も自由化が行われ、
それと同時に全世界から観光客が押し寄せるようになったが、最も人気の高い町のうちのひとつがプラハだろう。

さすがは黄金の都、あるいは百塔の都と言われるだけのことはあるし、スメタナの組曲「わが祖国」に、
この町を流れているモルダウが出てくることもあって、人気があるのはうなずける。

壁が開く前に行った時は、カレル橋にあまり物売りはいなかったように感じるが、観光客が世界中から
集まって来るので、この町のホテルは非常に高い。アメリカンスタイルのルネッサンス、マリオット、
インターコンチネンタルなど、ツインで2〜300ドルぐらいするらしい。

ヨーロッパスタイルのホテルも、外見から見て、「悪くないな」と思ったらそれぐらいする。
この国の一般的な労働者の給料は2万円ぐらいと聞いているから、1泊の値段が彼らの給料よりも高いことになる。

99年ごろだったと思うが、なるべく町の中心地から遠くないようなホテルをホテルリストから探し出し、
三つ星でツイン朝食付きで1万2千円ほどだったので予約して行ってみたら、「これが三つ星かいな?」と思うほど
ひどいホテルだった。
聞けば、クレジットカードも受け付けてくれず、現金で払ってくれと言う。「こりゃかなり経営難に陥ってるな」と思う。

それはそうと、レストランなどはそれほど高くはないが、チェコ料理といわれてもあまりぴんとこない。
結局は海に接していない国だし、長い間ドイツやオーストリアの支配下に置かれていた国だから肉料理ばかりで、
これと言った郷土料理のようなものはないような気がする。

それよりも、安くておいしいのはビール!いわゆるピルゼンタイプのちょっと苦味が利いて濃い目の味のビール。
アメリカにバドワイザーという銘柄があるが、これの元祖は「BUDWEISER(ブートヴァイザー)」という味のほうも
全く違うチェコのピールなのです。

最近はイタリアンレストランなどもあり、結構賑わっているようだ。ここに入ったのがいけなかった。
おいしいビールを飲み、ピッツァも食べ終わり、勘定を頼むと、若いウエイターがレシートを差し出した。

レシートにはレジの機械が打った値段に手書きで10パーセントほどの金額が追加記入されていた。
「これは何ですか?」
「チップです」
「ちょっと待った。チップというものは、あくまでもチップであり、私が貴方に出すものであって、
貴方が要求するものではありません」
「でもいつも頂いております」
「それは貴方が勝手にそのように決めて、お客様が納得したから払ったわけでしょう?
メニューにチップを別途に頂きます、とは書いてません。ですから払う必要はありません」
「いや、私は給料が安くて…。」
「それは貴方の問題であって、私とは関係ありません。マネージャーを呼びなさい!」
マネージャーがやって来たので、同じことを話す。

一応、この二人はドイツ語ができなかったのだが、私のつたない英語で何を言いたいのかを理解したようで、
マネージャーはこのウエイターにチップは要求しないように言ったらしい。
ウエイターはこの手書きの金額を消して差し出した。
その上で、こちらはチップを上げたのはもちろんである。

どうも日本からのお客は、お金持ちだからチップを要求するのが当たり前であり、もらうのが当たり前だと
思っているようである。

スロバキアでもやられたし、ポーランドでも同じようなことが起こった。

スロベニアでは全くそのようなことはなかった。それだけ観光客ずれしていないということだろう。

こういうことを考えると、日本人は英語ができないし、金を持っているからぼったくってやろうと
馬鹿にされているとしか思えない。

色々な添乗員の話では、アラブ系の国ではしょっちゅう起こっているらしい。やだね、まったく。