食物の話 その3(ジャガイモの話)

よく「ドイツではジャガイモが主食なんでしょう?」と尋ねられるが、そういう風に言われているし、
ジャガイモはしょっちゅう出て来るのだが、日本のご飯(お米)という感じで出ては来ないし食べない。
私は「どちらかといえば、パンと肉が主食ですよ」、と応えることにしている。

日本人は白ご飯に一汁三菜という具合に、あくまでもご飯を一杯食べて、それを食べるために、
いわゆる副食として、味噌汁、漬物、焼き魚(この状態でかなり食べたくなって来ている)等を沿えて食事をする。
極端に言えば、ササニシキ、コシヒカリ、秋田小町などのおいしいお米は、漬物、あるいはイカの塩辛などで
いくらでも食べられるし(フランクフルトに行ったら今度買って来よう)、そうするのだが、ジャガイモは
そういう感じでは食べない。

こちらでは肉料理の場合は、肉がドーンと、トンカツだったらA5ぐらいの大きさのものが出て来て、
それにほんの少しの温野菜、もしくは小さなサラダ、そしてジャガイモが少し添えてある。

つまり、あくまでも主食は肉であって、ジャガイモではないのです。
それを全部食べ終わって(日本人は当然食べきれない)、それでもまだおなかが一杯ではない、という場合は
ジャガイモで補充する、といった感じでジャガイモを食べるのです。

パンの場合、朝は皆パン食なのだが、昼休みが長い農家の方達、学校の先生、音楽家(夜に仕事がある)等は
昼に火の通った物を食べて、夜はまたパンにする人が多く、本来この形がドイツの食事と聞いている。
これをアーベントブロート(夜のパン)と呼び、パンに色々なチーズ、ハム、ソーセージなどを乗せ、
いわゆるオープンサンドにして食べ、野菜はあまり取らない。

軽食として日本ではインスタントラーメンが出て来る前、ちょっと何か食べたい時は母親が小さなおにぎりを
作ってくれたことがあったが、そういう感じでパンにバターを塗って、チーズを乗せて食べるのがこちらのやり方。

というわけで、主食は私に言わせればジャガイモではなく、パンと肉というわけなのです。

個人的にジャガイモは取りたてて好きな方ではない。

そう言う話をしたらある人に、「そりゃそうだろうなー。お前の場合、イモだったら共食いになるだろうし」、と言われた。
クニャロ!