ライン川の話 その2

リューデスハイムの町は半分観光で持っているような町だが、有名なつぐみ横丁はレストラン、
おみやげ物やさんが連ねており、シーズン中はレストランにはバンドが入ってかなり賑やかになる。

何で「つぐみ」か?別に意味はない。
ドイツではカラス通り、雀通り等の鳥の名前、ベートーヴェン通り、シューベルト通りと言った作曲家の名前、花の名前、
そして白雪姫通り、とかシンデレラ姫通りと言った名前で表示をするのが通常なのです。

唯一の例外はマンハイムという町で、碁盤の目のように道路が作られている地区ではA‐1、B‐3という感じで表示されている。

それはそれとして、この町は3月の終りから10月の末まで観光船が発着し、その期間は観光客で非常に賑わうのだが、
それ以外は開店休業のような感じでぱったりと観光客が途絶えてしまう。

そのせいでこのつぐみ横丁やライン川に面している大通りのレストランなどは結構高い。
8ヵ月で1年分を稼ぎ出さねばならないのだから無理もない。
シーズンオフにやって来るのはほとんど日本人。
以前は「ライン川下り」、ではなく「ライン川ドライブ」だった。
それはそれでかまわないのだが、冬の霧の深い日などは全く何も見えない川に沿って走るだけ。
「ここら辺に〇〇と言うお城があるんですが、今日は霧で見えません。」と言ってばかりもいられない。
ライン川に関する話ばかりではなく、ドイツのお城の話から、ドイツ人の気質、その生活、ありとあらゆる話題を持って来て
お客様を退屈させないようにしなければならない。
ガイドが随行しない添乗員は大変だろうな、と思う。

それでも最近は、シーズンオフでも日本人の団体が予約すれば船が運行されるようになった。
霧が深ければ何もならないのだが、一応ライン川下りはできる、という訳で、たまに私の小さなグループも
それに便乗させてもらっている。

乗船して約一時間半後、かの有名なローレライのメロディが流れて来て、お客様はその岩、と言うよりも崖をバックに
写真を撮り、私も次々にお客様の写真を取ってあげる。

その後下船してからお客様に必ず質問することにしている。
「はい。ローレライの岩でしたー。感激した方?」手がちらほら上がる。
「がっかりした方?」手が一斉に上がる。

「やっぱりね。何を隠そう、世界でこれほど有名で、これほどつまらない物はちょっとない。というのが
このローレライの岩なんです。」お客様は皆うなずく。
「それでも、日本だったら、ローレライ饅頭、ローレライ煎餅の類が並んで、そこらへんでイカ焼の匂いがしたりして、
あちこちに看板が立って、やかましい音楽が流れて…。そういうことがないのでやっぱりきれいですね。」と言うと
お客様はかなり納得してくれる。

この「つまらない」という印象は日本人ばかりではなく、観光客の多くがそう感じるらしい。
そういう訳でかなり前に、ある三流新聞が「観光船が通るたびにあの岩の上にヌードの女性を立たせたらどうだ?」
という話を出したそうな。

今では朝の観光船に金髪のきれいな女性、ミスローレライ(?)がお客様を迎えていることもあるらしい。
残念ながらヌードではない。

ちなみに、この他に非常につまらない、というのがヨーロッパでもう二ヶ所あると聞いているが、さてそこは?