最初は1810年にルートヴィッヒ1世が、ザクセン‐ヒルドブルクハウゼン家のテレーゼ王女との結婚式を記念して競馬大会を
開催したのがきっかけで、その後次第にアトラクションが加わって行った、ということらしい。
今ではお化け屋敷あり、ジェットコースターあり、いろんな乗り物があって、大遊園地みたいなものにビールが加わる。
いや、ビールに大遊園地が加わる、と言った方が正解だろう。
オクトーバーと言うぐらいだから10月に行なわれてもいいのだが、実際には天気が悪くなる前に行ってしまおう、という訳で
9月下旬から16日間にわたってヴィーズンと呼ばれる広場で行なわれ、毎年述べにして約7百万から8百万人が
ビールを飲むためにこの会場にやって来ると言われている。その為に、ホテルはいつも満杯。
この期間はまた値段が上がり、どこにも見つからず、団体は200キロ飛ばされたことがあるそうな。
私自身も両親を連れて行ったことがあるが、朝一番に電話し、「必ず行きますからね!」とやっと部屋を確保したことがある。
初日にはミュンヘンを始め、バイエルン各地、そしてオーストリア辺りからの団体がパレードに参加する為にやって来る。
開会式の一杯目のビールは当然ミュンヘンの市長が飲み干すことになるのだが、この会場にはミュンヘンのビール会社が設置した
巨大な(100X300メートルぐらい)ビールテントが張られ、中ではブラスバンドが音楽を奏で、ビールで酔いつぶれてテーブルに
臥せっている人達があちこちに見られ、その間をウエイトレスが1リットル入りのジョッキ(2.5キロぐらいはあると思う)を
最高12、3個ぐらい抱えて歩き回り、急性アルコール中毒で危険な状態になった人達を救護員達が汗だくになって
駆け回りながら収容し、ビールばかり飲んでいるせいでトイレはいつも一杯。
要するに上野公園の花見どころじゃない大混乱状態。
この中ではぐれたら絶対に見つからないのは当然である。一度だけそういうことがあった。
ビールテントの入り口前にはコントローラーと呼ばれるガードマンがいて、ビールジョッキを黙って持ち返る人が後を断たない為、
入口に立ってそういうお客様にはジョッキを返すように指示している。
「欲しいんだったら、売店で買って下さい。」という訳である。
それでもうまく持ち出しに成功する人達もいて、いいお土産になるようだ。
私のリムジンハイヤーをご利用になった個人旅行のあるご夫婦が、「このオクトーバーフェストを見たい」、ということでご案内した。
ご夫婦とも隣に座り合わせた若者達と一緒に大騒ぎになり、私もそれに便乗したような形になってしまった。
結局は二時間ぐらい大騒ぎし、帰り際に奥様の大きなバッグにジョッキを忍ばせる。
そして出口でコントローラーに近づき、「ご夫婦がコントローラーと一緒に写真を撮りたい、と言っている。」、と話し、
「イエーイ!」という感じで皆の写真を撮り、まんまとジョッキを持ち出すのに成功。
「いいお土産になった。」と喜ばれる。
今頃はビールをこのジョッキで飲みながらオクトーバーフェストを思い出しているかもしれない。でも真似してはいけませんよ。