ドジなホテル
お客様からの、「どうしてもハンガリーのドナウベントと呼ばれるドナウ川の湾曲している様子を見たい」、
というリクエストで、あるホテルを予約する。
お客様をお迎えするためにブダペストに行く途中でホテルに立ち寄り、部屋を見せてもらうが、工事の足場が
邪魔をしているので別の部屋にしてもらうことを確約させる。
さて、数日後、ホテルにチェックインして部屋に入ると、ドナウ川が一望できる大きなセミスイート。
これでいいのだ。
温水プールもあり、一休みして、7時にホテルで夕食を取ることにした。
ところが、お客様は7時過ぎになってもロビーに下りてこない。
「お休みかな?」、と思い、10分ほど待ってから部屋に電話してみるが、応答がない。
「73歳の高齢だけれども、まさか・・・」、とは不安を抱きながらも、「あれだけ元気なんだから」、と思い、
部屋のドアを叩いても応答がないし、たり、私の部屋から電話しても出て来ない。
そのうち、工事中のせいだろう、電話自体が通じないことが分かった。
「何かある」、と思い、フロントに頼んでカードキーを作ってもらって部屋に入る。
部屋に入りながら、「〇〇さ〜ん」、と大声を上げると、バスルームのドアがドンドン叩かれた。
バスルームのドアを開けると、お客様が安心した顔で出て来た。
聞けば、シャワーを浴びるためにバスルームに入り、ドアを閉めたら開かなくなったとのこと。
良く見ると、ドアのバスルーム側の取っ手が付いていない。何てこった。
「電話は通じないし、ドアを叩いても誰も来ないし、悲鳴を上げても誰にも聞こえるわけでもない」、途方に暮れていたけども、
「きっと藤島さんが来てくれると思っていた」、というお話。
それにしても、食事前だから良かったものの、これが食事後だったら誰も気づかずに、お客様はバスルームで夜を明かす
なんてことになっただろう。
せっかくこのホテルをわざわざ予約したのに…。ドジ!!!