ドイツのタクシー・ハイヤー
ドイツでは、職業に就くためには、ほとんどの場合、しかるべき資格が必要となっています。
何を隠そう、タクシー会社、ハイヤー会社を設立するためにも、しかるべき資格がいるのです。
その資格を得るために、旅客運送法に基づく法律、税法、雇用法、休暇に関する法律などを熟知し
そのための資格試験を商工会議所で受けねばなりません。
この場合、タクシー会社、ハイヤー会社とも、同じ資格になり、この資格を取って初めてタクシー会社なり、
ハイヤー会社を設立できることになるのです。
この試験には最初の試験は講習を受けずに臨んだため、見事に失敗、講習を受けた後で受けた2度目の試験には
ぎりぎりで合格。
その後で、バス会社設立のための資格試験には、見事に1発で合格。それも口頭試問なしで合格しました。
自慢ではないですが、この資格を持っている日本人はおそらく私だけでしょう。
もっとも、バス会社を設立しようとは思っていないのですが。
そして、ハイヤーに関しては、料金設定、車の色などに関しては自由なのですが、それでも、
車の右側にはドアが2か所なければならない、警報装置が付いていなければならない、といった
規制があります。
私の持っているハイヤーとして登録されている車は、フォルクスワーゲンのパッサートというステーションワゴンと、
8人乗りのベンツのミニバスになり、いずれも車検は1年ということになっています。
ところで、インターネットで検索しても、ガイドブックにも、「ドイツのタクシーはベンツが多い」、と書かれている。
それに関する理由が色々書かれているが、ドイツで日本人タクシードライバートとして働いていたこともある、
日本人ハイヤーのオーナーとして、20年以上になる私からの意見です。
まず、タクシーには色々と規制があり、この規制を満たさないとタクシーとして使用できないことになっている。
・現在では規制がかなり緩くなったようだが、タクシーの色は原則としてクリーム色にすること。
・屋根の上には黄色で、「Taxi」と表示しなければならず、その表示の大きさも決められている。
また、夜は空車の場合はランプで点灯して、それを表示されるようになっていなければならない。
・車の右側には必ずドアが2つ付いていなければならない。
・検査局での検査済みのタクシーメーターを設置していなければならない。
・車内に、乗客がすぐ目につく場所に、タクシー会社の名前と住所を表示していなければならない。
・盗難などの場合に備えて、アラーム装置を備えていなければならない。
以上のようないろいろな規制があり、ベンツでは、この規制を全部満たす車をタクシー仕様として
専門に生産しており、買う方としては、必要な装備を全部備えているし、このタクシー仕様の車は
ベンツの他のモデルと比べてかなり安く(おそらく25%以上)、大きな営業所ではタクシー専門の
セールスマンがいる。
もちろん、このセールスマンはタクシーに関しては専門家であるからして、タクシー会社や、これからタクシー
あるいは、ハイヤー会社を始める人たちに対しても、色々なアドヴァイスをしてくれるようになっている。
私自身も、ドイツでハイヤー会社、と言うより、個人ハイヤーを始めてしばらくして、ベンツの新車を購入する際、
色々なアドヴァイスを受けた。
そういうわけで、タクシーはベンツが多い、と言うわけです。