フルダの岩塩鉱山視察通訳
フランクフルトから北東に約50キロほど行くと、フルダという町の少し手前に
大きな白い山が見えてくる。
その形から人口の山であることは分ったが、何で白い山なのかずっと疑問に思っていた。
ある会社からドイツ語通訳の依頼があり、フルダの町に行くことになった。
何でも、日本のある商社の社員たちだそうで、肥料を売っているのだが、その営業成績の良い社員が
招待されて、この鉱山の見学に来た、ということであった。
翌日、その鉱山の説明を受けると、地下に岩塩層があり、そこから岩塩を掘り出し、
その中に不純物として含まれる硫酸マグネシウムが肥料として採取され、残りの大部分の
塩が捨てられる、という話であった。
要するに、白い山は、「塩」の山であった。
その後、その岩塩層を案内されたが、何と地下620メートルまでエレベーターで降りて行く。
中は10メートルほどの幅の広い坑道が伸びており、前後左右、回りは全て岩塩である。
それを巨大な削岩機で奥深く穴を掘り、爆薬を仕掛けて破砕した後に、これまた大きな
ショベルカーを使ってクラッシャーに投入している。
全ては、映画などに見られる鉱山の地下坑道といった雰囲気ではない。
驚いたことに、ベンツの乗用車が坑道の中を走っていた。地下鉄漫才ではないが、
どうやって入れたんでしょうね?実に不思議ですね。
食塩から硫酸マグネシウムを採取するには、「ローテーションシステム(浮遊選鉱)」
という方法であったが、小学校の時に近くの銅山見学で見た物と全く同じ機械が
回っており、何となく懐かしい思いがした。
それにしても、「浮遊選鉱なんて言葉、よく覚えていたもんだ」、と自分でも感心したりして。