ウィーンの話 その1

ウィーンと言えば、音楽の都というイメージしか浮かばないし、実際にその通りである。

近年小沢征爾氏が音楽監督となったウィーンの国立オペラ劇場は、世界最高のオペラ劇場のうちの一つであるし、
このオーケストラの精鋭部隊が、ベルリンフィルハーモニーと肩を並べるウィーンフィルハーモニーである。

この町が音楽の都となったのは、結局はこの町に君臨していたハプスブルク家をはじめとする幾多の貴族が
競い合って音楽家のスポンサーになったのが原因だろう。
どんな天才的な芸術家であっても、霞を食って生きていくわけにもいかないだろうし。
中には、「俺たちは芸術家だから、金の話はしたくない」、という人もいるとは思うが。

この町を一言で言えば、「東京では誰でも、そしていつでも芸者遊びができるか?」、と問われれば、
「そういうわけではない」、と応えるしかないが、「ウィーンでは誰でも、そしていつでもウィーナーワルツが聞けるか?」、
と問われれば、「できる」、と応えられる、ということであろう。

さすがにウィーンフィルハーモニーによるウィーナーワルツがいつでも聴けるわけではないが、
毎年ニューイヤーコンサートが開催される、かの有名なムジークフェラインザールと呼ばれる楽学友協会のホールをはじめ、
シェーブルン宮殿やホーフブルクのホールなどの町の色々な会場で、観光客向けにヨハン・シュトラウスや
モーツァルトのコンサートが行なわれている。

そのチケットはホテルとか、町のインフォメーションで手に入るし、オペラ劇場の前や、町のあちこちで
モーツァルト時代の衣装を着たアルバイトの学生たちが、道行く観光客に日本語で、「コンサートいかがですか?」、
と声をかけて売っていたりもする。

演奏するオーケストラには、〇〇オーケストラ、といった一応それらしい名前が付けられているが、プロのオーケストラ団員、
あるいは音大生のアルバイトによる寄せ集めのオーケストラと思われる。

とは言うものの、決して馬鹿にしてはいけない。
さすがはウィーンのオーケストラという感じで、演奏も立派なものである。

それに何と言っても、オーケストラのメンバーが楽しそうに演奏しているし、聴衆も、日本の演奏会の様に、
「気合を入れて真剣に聞いてやろう」、という感じではなく、気取らずに音楽を楽しもう、という具合で、
非常に和やかな雰囲気でコンサートが進行する。

そして最後はお決まりの「美しく青きドナウ」、と「ラデツキー行進曲」でお開きとなる。

私のリムジンサービスハイヤーで個人旅行のお客様をお連れするのはあまりないが、大体はコンサートをご希望なさるので、
そのチケットを用意することがある。

町の公園にはヨハン・シュトラウスがヴァイオリンを奏でている金の銅像がある。

初めてこの町を訪れた1975年には青銅製で、それこそ「銅像」だったという記憶があるが、これに金箔が貼られたのは
いつのことで、どういう理由によるものだろう?

ウイーンの町はヨハン・シュトラウスのおかげで儲かっているんで、お礼の意味を込めて、金ピカにしたのだろうか?なんつーて。



ヨハン・シュトラウス像