ケーニッヒスゼーの話

ミュンヘンからザルツブルクに向かい、その手前からベレヒテスガーデン方向に足を
伸ばしてシューナウまで行くと、ケーニッヒスゼーという小さな湖がある。

王様の湖と訳せるこの湖のそばには、かのヒトラーが住んでいたオーバーザルツベルクの
山荘と、彼の50歳の誕生日のプレゼントとして、秘書のマルティン・ボルマンが突貫工事で
建てさせたケールシュタインと呼ばれる、ティーハウスがある。

山荘の方は戦争で破壊されたが、破壊を免れたティーハウス、茶室の方は一般公開されており、
乗り合いバスで行くことができる。天気の良い日のここからの眺めは最高である。

湖をを訪れる観光客の駐車場から湖畔までの200メートルほどの道にはお土産物店が
並んでいて、日本の観光地を思い浮かべたりする。それでも、宣伝用のスピーカーからの
放送などという、野暮なことはしないので、まあ許すことにしよう。

このケーニッヒスゼーは長さ10キロ、幅が1.3キロほどのうなぎの寝床の様に細長い
湖だが、うなぎは棲息しておらず、川カマスや鱒の類がいて、一軒だけが漁業許可を
受けている。その燻製を観光船が立ち寄るザンクト・バートロメーで味わうこともできる。

この湖を周遊する遊覧船がいい。というのは、この遊覧船は電動モーターで動いており、
静まり返った自然保護地区に指定されたヴァッマン山系の自然を邪魔することなく、
聞こえるのはマイクを通して船の中で説明してくれるガイドさんの声だけである。
そして湖の途中にある壁に向かって、このガイドさんがトランペットを吹き、反射する
エコーを聞かせてくれる。説明によれば、7回ほどエコーするらしい。
あまり上手くはないトランペットなのだが、それこそ、耳に「シ〜〜〜ン」とする中での
エコーはなかなかのものである。
ガイドさんは、その後でチップを集めるのだが、まあ、いいか。

一度、映画の撮影で、このトランペットを吹いてくれる様子を撮影した時、同乗していた
犬がラッパの音に驚いて吠え出し、大失敗したことがあった。お客さんたちは大笑いを
していたが。

35分ほどで巡礼教会があるザンクト・バートロメーという場所で下船し、お茶を飲んだり、
湖畔を散歩しながら1時間ほど過ごして、帰ることにする。
ここから先、湖の最先端に行くこともできるのだが、そこまでは行く必要ないだろう。

ホテル事情は決して良いとは言えないのだが、車で30分ほどでザルツブルクに
行くこともできるので、ホテルの高いザルツブルクに宿泊するよりは、なるべく
ここの湖畔のホテルを取るようにしている。

先日ここを訪れた際、きれいに霧がかかっていた。



霧のケーニヒスゼー



ザンクト・バートロメー