フライブルクの話

スイスに近い、シュヴァルツヴァルト地方の大きな町であるフライブルクは、大学の町として有名だが、
日本ではどちらかと言えば、環境問題、ごみ処理問題、そしてエコロジーと言うテーマに取り組んでいる町で
有名らしい。

1970年代に、この町の近くに原子力発電所が建設されることに学生や周辺の住民が反対し、
これが、ドイツの緑の党の基礎になったと聞いている。

それ以来、この町はドイツでも積極的にごみ処理、省エネ、環境問題に取り組んでいる、と言うことで、日本からの
テレビ撮影、視察団が日参していた時期もあり、私自身も、何度かこの町の官庁でのインタビュー、
ごみ処理施設を視察、撮影する小さなグループのドイツ語通訳兼ドライバーガイドとして、
ミニバス・ハイヤーでご案内したことがある。


日本とドイツのごみ処理について、最も違うのは、日本人は、「ごみ処理の費用は無料である」、と
思っていることだろう。

そうではない。ごみ処理の費用は決して無料ではなく、それが表に出てこない、と言うことだけである。

ごみ処理にはちゃんと金がかかっているのである。それが証拠に、ごみ処理をしている人たちは
それなりの給料をもらっている。

そして、お客様は無料でもらっている包装紙や、魚をパックしているトレイから何から何まで、
コストがかかっており、それが全て商品の値段に跳ね返っている、と言うことを日本人は
あまり感じていないことだろう。これまでずっとそうしていたのだから無理もないとは思うが。

なモンで、かなり前から言われている、「過剰包装はやめましょう」、と言うキャンペーンもあまり効果が
ないんですよね。
それでも、最近は日本でも、エコバッグと言うのが普及してきたみたいですが。

そういうわけで、フライブルクのごみ処理場を視察にいらしたお客様によく言ってました。

「ごみ処理問題で最高の解決方法は何だと思いますか?私は知っています。この方法は金もかかりません」。
皆さん、シーンとしている。

「簡単です。ごみを出さない、ということですよ。そうすれば、ごみの問題も起きないんです」。
皆さん、「ああ、そうか・・・・」、と言う感じでキョトンとしてらっしゃいました。