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ドイツでのテレビ取材の通訳

ドイツで個人旅行の日本人ドライバーのリムジンサービス、そしてドイツ語通訳と言う形で
客様たちのご案内をする個人ハイヤーを始めてからしばらくになる。

まあ、これが主な仕事として日々の糧を稼いでいるわけだが、できること、早い話が、金を稼ぐことは
何でもやっている。

仕事を選べるほど稼いでいるわけでもないし、仕事をしている間は、その仕事を無事に終えることだけしか
考えていない。

何と言っても、「その日暮し」、をしている、「日雇い」、に過ぎないのだから。

たまに「自分の職業は何か?」、と自問することもないではないが、自分としては何でもやるし、
何でもやらせて頂いている。だとしても、何でもできる、というわけでもないが、まあ何とか。

その中でも、ごくたまにしか回ってこない仕事のうちのひとつが、テレビ取材とか映画の撮影のコーディネーターである。

かなり前だったが、ある日本の著名な画家が長期間ドイツに滞在し、その先々で絵を描いたが、
その描いた場所を撮影するのに同行する、という仕事の依頼があった。

ビデオカメラによる撮影ではなく、今となっては珍しい35ミリフィルムによる撮影である。

撮影のスタッフは、監督と助監督、そしてカメラマンの3人、そして車を運転する私の4人。

まずはフランクフルト空港で3人を迎えるが、その機材の多いこと!

カメラに大きな三脚はもちろん、バッテリーと充電器、大量のフィルム、それを納めるケースなどを合わせると
軽く100キロは超える。

「こんなに沢山の機材を持ちながら移動しているのか?」、とびっくりする。飛行機の超過料金は半端じゃないだろう。

それら全てをミニバスに乗せ、その足でロマンチック街道のローテンブルクに移動して宿泊、翌朝から早速撮影にかかる。

私自身も幾度となく訪れた町でもあるので、見所はつかんでいる。

町の二重橋や城門をめぐりながら撮影を続ける。

最後は60メートルの市役所の塔に登り、そこから町の撮影。
ここで困ったことが起きた。撮影する方としては、「ゆっくりと納得いくまで撮影したい」。
塔を管理している方は、「他のお客様がいるので手短にやってほしい」。
10分ほどの約束が20分以上になってもまだ終わらない。

塔の管理人の顔がだんだん険悪になってくる。それでも、塔に登って来るお客様たちは日本人ばかりなので、
何とか許してもらえた。天気も良かったので良い撮影ができた様だ。

その日の撮影を終え、食事をしながら翌日のスケジュールの打ち合わせをする。
ここで、明日はそのままベレヒテスガーデンに行くはずが、「フライブルクに寄って欲しい」、
というリクエストが出た。ローテンブルクからベレヒテスガーデンまでは約400キロ。

ところが、フライブルクに寄り道したら合計約1100キロもある。ざっと700キロの
回り道であるが、「どうしても行って欲しい」、というリクエストである。

撮影する方としては、「行きました。だめでした」、というわけにも行かないのだろう。仕方がない。
「いいですよ。その代わり、明日は7時出発で、ベレヒテスガーデン到着はかなり遅くなります」。

というわけで、アウトバーンを飛ばしてフライブルクに到着したのが11時ごろ。

「なるべく早く済ませる」、と言いながらも欲が出たらしい。撮影が終わって後にしたのが午後3時。

それからはずっと150キロで走り、途中土砂降りの中でも時速130キロ。
くたくたになりながらも、何とかベレヒテスガーデンのホテルに夜の10時半ごろに到着。

すでにレストランは閉まっているが、何とかお願いしてサンドイッチとビールだけの夕食を取りながら
翌日の打ち合わせをする。

明日の出発は朝の8時。きついなー。











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