ヨーロッパ、特にドイツでは、フランクフルト、ケルン、デュッセルドルフ、ベルリン、ハノーヴァー
ミュンヘン、ニュルンベルクなどの主だった大都市では見本市(メッセ)が盛んに開催され、
その度に世界中から商談をするためにビジネスマンが集まって来る、と同時に、他の会社が
どのような物を作っているか、といったことを調査してもいるらしい。
いつだったか、ベルリンで、「エロチックメッセ」、というのをやっていたな、そう言えば。
メッセ開催の時期、特にフランクフルトではホテルの値段が目の飛び出るほど跳ね上がり
安い団体旅行のグループは200キロも離れた町のホテルに飛ばされることもある。
私自身も、フランクフルトで毎年開催される書籍見本市をはじめとして、2年ごとに
開催される世界最大の自動車の見本市であるモーターショウ、毛皮、消費財、プラスチック、
医薬品などのメッセを訪問するお客様のためのドイツ語通訳をしたり、フランクフルトの書籍見本市
では、日本の出版社のインフォメーションカウンターで、色々な情報提供をする業務に従事したことがある。
このメッセの開催中、どれに限らず最初の2、3日は商談に来た業者の人たちだけが入場を許されるが、
その後は一般の人たちも入場でき、これがまた面白い。
フランクフルトの書籍見本市のカウンターで案内係を毎年、通年で10年ほどしていたことがあった。
この時はドイツ語通訳ばかりではなく、相手が英語しか話せない場合には、つたない英語で通訳を
することになった。大体のテーマは、「この本を売り込みたいんだが、日本のどこの出版社が興味を持つか?」
といった売り込みである。そういう場合は、ブースを出している出版社を紹介したり、日本の住所を教えて
あげたりする。
そういう売込みばかりではない。高校生ぐらいの男の子が、「日本人の高校生と文通したいんですが、
誰か紹介してください」、といった相談もあった。
はたまた、こういうケースもあった。
「自分は非常に良い発明をしたんですが、それを取り上げてくれるような出版社を紹介してください」。
「それはいいんですが、どういう発明ですか?」。
「それはお見せできません」。
「でも、どういう物かわからないと、紹介できないでしょう」。
「あなたが盗むかもしれないですから、見せるのは嫌です」。
しばらくこれのやり取りが続く。
結局、このっさんは、ぶつぶつとわけの分からないことを言いながら去って行った。
こっちはもっとわけが分からなかったんですが。ハイ。
こちらでもポケモンやセーラームーン、ドラゴンボールがテレビで放映されて大人気を博し、
漫画が書店に並んだころ、フランクフルト書籍見本市では、日本の出版社のブース
に並べられた漫画コーナーはティーンエイージャーでごった返していた。
面白かったのは、フランクフルトから70キロ離れたギーセンという街に住んでいて、
老人介護師をしている女性からの相談であった。
「失礼します。実はハラマキ(ここだけ日本語)を日本から取り寄せたいのですが・・・・。」
「は?ハラマキですか?」。
「ええ。介護施設にいるお年寄りたちに必要なんです。〇〇スケのデュッセルドル支店に
連絡したんですが、返事がこないんです・・・。」
結局、私が個人的に秋田の実家に住む姉にお願いして50枚ほど送ってあげたら非常に喜ばれました。
こういう感じで、見本市では色んなことが起こっているというわけです。